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「ボクからのひとこと。」

日頃から[ITS Club]へお起し下さっているみなさんへ、本当にありがとうございます。みなさんからの お便りにどれほど励まされているか、感謝の意に絶えません。 あらためてこの場をお借りし、心より深く御礼申し上げます。さて、来月には映画「すずらん」のサウンドトラックと、 ピアノ・ソロによるオリジナル・アルバム「ALL ALONE」がリリースされます。そこで、この2枚のサウンドトラックCD Releaseにさきがけ、たまにはここだけのお話をいたしませう。「ALL ALONE」には「氷の世界」のサウンドトラックにも 収録されていた、「My Dearest Love」がピアノ・ソロ・ヴァージョンとして収録されています。実は、この曲の原型を 作曲したのは、かれこれ2年ほど前の冬でした。当時、とある仕事で出逢った素敵な女性に、ボクは恋をしました。 しかしながら、その彼女には数年間連れ添ったボーイフレンドがおり、ボクたちふたりは互いに口に出してはならぬ恋を胸に秘めながらも、切ない日々を過ごしていたのです。そんな分かち合うことの出来ない想いを胸に、まさしく 「ソウル・メイト」であると確信していた彼女へ、この想いをせめて言葉では伝えられないまでも音楽として伝えられれば、との一心から、ボクはこの「My Dearest Love」を作曲しました。時はいつしか春を迎え、やっとの想いで数々の ハードルを越え、ボクたちは愛し合える日々を手に入れました。レコーディングされた出来たてのホヤホヤの「My Dearest Love」を、初めてボクの車の中で聞いてくれた彼女が、あの時流した涙を、ボクは一生涯忘れないことでせう。それから約1年の歳月が過ぎたある日、まるで春雷に打たれたかのように、ボクたちの幸せは突然砕け散りました。 それは、ボクが35年間の人生において味わった想い出の中で、最も過酷なものとなったことは言うまでもありません。 それからの数週間は、自分が生きているかどうかさえおぼろげな日々を過ごしました。 出来うることならば全ての仕事を休み、ひとりで世界の果てに彷徨いたいと思いつめるほどの絶望感に、全身が覆われていました。 そんな悲しみや苦しみしか感じられない日々の中で、必死に手掛けたのが映画「すずらん」の為の音楽です。それはまるで、 自らの魂を救わんがために筆を走らせていたかのようでした。さらには、「ALL ALONE」の最終レコーディングで、ふたりに とって一生涯忘れ得ぬであろう「My Dearest Love」を、ひとりきりのレコーディング・スタジオで何度も何度も奏でました。 ふたりの想いを結んだ「My Dearest Love」は、ピアノ・ソロで奏でられながら、今度はふたりの幸せに別れを告げたのです。 映画、「すずらん」の為の音楽を手掛けたボクは、劇場用パンフレットのコメントにこう記しました;「ひとは愛によって 生きている」と。これはかの有名な文豪トルストイの言葉です。どうかみなさんにも、この2枚のCDアルバムをお聞きになられる際に、そんなオタマジャクシの陰に秘められた想いを、少しでも感じ取って戴ければ幸いです。最後に、ボクは今でもいつまでも、彼女がいつの日か本当の幸せをつかんで欲しいと、人知れずに祈りながら、日頃からボクが愛する言葉をみなさんに、そして「My Dearest Love」であった彼女にも捧げたいと思います。
「The music is where heart is.」・・・心あるところに音楽はある。

June, 2000 岩代太郎
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