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「五月病」
あれはたしか、中学2年生の頃だった。どうも胃のあたりがシクシクと 痛み、近くの総合病院へと赴いた。 診察室に入ると、初老のお医者さんがさもあらん、といった具合にボクのカルテを手にしながら、一言。
「これは五月病だな。」
恥ずかしながら、当時のボクはこの「五月病」なる意味を知らず、妙に感心しながら、
「そうですか。五月病ですか。」 などと相槌を打ち、トボトボと家路についた。「どうやら、五月病とは大した病気ではないらしい。」
家に帰ると、母が心配そうに尋ねてきた。 「お医者さんは何だって。」
「五月病だって。」 ポカン、バシッ。途端に母の平手がボクの頭を叩きつけてきた。
「だったら早く、学校へ行きなさい。」
何で怒られるんだろう、と納得のいかぬまま学校へと向かった。数年後、「五月病」なる言葉の意味を知った時はさすがに憤慨したものだった。
何というお医者さんであろうか。実のところは、その数ヶ月後に立派な胃潰瘍となり、苦しんだボクだったのに。 五月には「五月晴れ」なる言葉もある。今年はどうやら「五月晴れ」が少々雲隠れ気味ではあるが、毎年誕生日
が訪れる頃になると、何とも心地よい季節に生まれたなと喜びつつ、ちょっぴり悔しい「五月病」疑惑も懐かしく 想い出されるのである。さて今年もはや、五月が終わろうとしているが、皆さんにはどんな五月の想い出があるのでしょうか。
May, 2001 岩代太郎 |
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